来年度の公的年金が実質的に目減りする見通しです

来年度の公的年金額は物価上昇を反映し、2年連続でプラス改定になる見通しです。

その一方で将来世代の年金のため、今の年金を抑制する措置も2年連続で発動する見通しになりました。

公的年金の支給額は、物価や賃金の変化に応じて毎年度改定される仕組みになっています。

その主要な指標が全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)であり、今年の物価上昇率をもとに2024年度の年金改定率が決まります。

総務省が先日公表した今年10月の総合指数は、前年同月より3.3%上がりました。

上昇率は年初から3%を上回り続け、年金額は2年連続でプラス改定が確実な情勢です。

ただし、公的年金には、保険料を払う現役世代の減少や高齢化に合わせて、支給額を抑制する「マクロ経済スライド」という仕組みがあり、この措置も2年連続で実施される見込みです。

ニッセイ基礎研究所による今月中旬の試算では、物価や賃金を反映した本来の改定率は3%で、ここから0.4%分が抑制され、年金の実際の改定率はプラス2.6%になる見通しとなり、物価上昇分ほどには年金が増えず、実質的には目減りすることになります。

来年度の年金の改定率は、2023年平均の総合指数が公表される来年1月19日に合わせて決定されます。