雇用保険の制度改正に関する議論が始まりました

育児休業給付の引き上げや失業見直しに関する議論が厚生労働省の審議会で始まりました。

雇用保険制度は、失業したときや育児で仕事を休んだときの給付金や、教育訓練を受けるための費用などを出すことで労働者の雇用の安定を図る制度です。

そして、その財源は労働者と事業所が負担する保険料が中心で、一部を国が支出しています。

同省の審議会では労使の代表と学識者で議論しますが、今回はまず少子化対策で育児給付の拡充が検討されました。

政府方針では、両親が一定期間の育休を取った場合、給付率を現在の手取り8割相当額から10割相当額に引き上げるとしています。

また、2歳未満の子を育てるために短時間勤務をする労働者に対しては、減った賃金を補う「育児時短就業給付(仮称)」の創設に向けて、給付額などを検討するということです。

これらはいずれも2025年度からの実施を目指しています。

そして構造的賃上げを実現するためとして、労働移動の円滑化に向けた施策も検討を進めるとしています。

自己都合退職した場合、現在の制度では失業給付は申請から原則2か月間、受け取ることができないのですが、政府方針では申請前にリスキリング(学び直し)に取り組んだことを条件にすぐにもらえるようにする案が示されています。

ただしこうした制度を使えるのは雇用保険の加入者に限られており、この対象者を広げる議論も進めることになりました。

具体的には現在の雇用保険加入の条件となっている「労働時間が週20時間以上」を見直す方向ですが、適用範囲をどこまで広げるかも論点となります。

もし週15時間以上の労働者まで対象を広げると、最大で約300万人が新たに適用されることが見込まれています。